パソコンの歴史を変えた初代iMac発売から20年

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”15インチCRTを装備した一体型のケース、キーボード、マウス、果ては電源ケーブル、付属のモジュラーケーブルにいたるまで半透明(トランスルーセント)で統一された斬新なデザインや、ボンダイブルー(アップルによる造語、シドニーにあるボンダイビーチから)と呼ばれた印象的なカラー、1億ドルを超える大規模マーケティングキャンペーンが展開されたこと、178,000円(当時)という低価格が広く受け入れられ、4ヶ月で80万台出荷というヒット商品【wikipedia】

1998年8月15日、日本語版は8月29日に後にAppleの主軸をなす商品となる初代iMacが発売された。Appleに復帰した故Steve Jobcが発表したiMacは、その開発は社内のごく限られた人数で構成されたチームにより極秘裏に進められた。そして、1998年5月6日の発表で初めてiMacの存在を知った社員がほとんどであったという。

初代のiMacは、Appleがレガシーデバイスと考えたRS-422シリアルポート、フロッピーディスク、ADBポート、SCSIを廃し、USBを全面的に採用した斬新な仕様で発売され、USBを採用した周辺機器が次々に発売されることとなった。そう、USB搭載機器の普及が加速的に進んだ。
さらに、キャンディカラー(タンジェリン、グレープ、ライム、ストロベリー、ブルーベリー)のスケルトンと呼ばれる筐体をもつドライブやプリンターなどなど周辺機器の発売が相次いだ。キャンディカラー&スケルトンの一大ブームとなった。


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ディスプレイ内蔵のオールインワンタイプ型であるiMacのデザインは、「Hello Again」で登場したことからもMacintosh 128Kから始まったMacintoshの原点とも言うべきものである。

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iMacには、これまでのパソコンにはなかったインテリア性があった。白と半透明のボンダイブルーを使い、筐体は箱形を脱して曲線を多用、メイン基板も筐体デザインに配慮した変形五角形の専用品を用意したというかなりこだわった製品であったのだ。

初代iMac以降、デザインや内部アーキテクチャは大きく変化しているが、2018年時点でもディスプレイ一体型デスクトップ機としてAppleの主軸をなす商品である。

そう、デザインの変化とともに分解バラしがやっかないのもiMacの特徴だ。

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液晶フラットパネル型のiMac G5iMac G5 iSightは、背面のスリットから内側の見えないラッチを外すという仕様だった。

iMac (2007 Mid)は、ガラスパネルとアルミ筐体がマグネットで固定されているものであった。当時、分解バラしでこのマグネットを発見するまで時間がかかったことを思い出す。

その後、iFixit CEO Kyle が来日、わが家で飲みながら、彼と「Appleは修理を考えてデザインしなくなったね‥」と話したことを思い出す。
そして、iMac Late2012では、分解バラしの難易度がさらにアップしていたのだ。

隠れたビスやマグネットを探したのだが、全く見つからなかった。最終的にわかったのは、ガラスとアルミ筐体を両面テープで張っていたのだった。実は、分解バラしサイトにはアップしていないが、1台目のiMac Late2012のガラススクリーンはバキバキになっていたのだ。撮影には、慌ててApple Store心斎橋へ買いに行った2台目の画像をアップした。世界最速バラしを公言していたKODAWARISANとしては、この失敗は許されず、1日に2回もiMacを購入しに行ったという裏話がある。

昨年、Kyleが再来日したとき「修理する権利を取り戻したい」と取材で語った。

AUGM大阪のあと、わが家で飲みながら
KODAWARISAN「Apple製品は分解すると元に戻せない構造になったね」
KODAWARISAN「元に戻らないと使えないから、分解バラしはもう引退だよ‥」
Kyle「引退?」
KODAWARISAN「そう」
Kyle「分解バラしをしないのか?」
KODAWARISAN「元に戻せないのは構造もだけど、老眼ね(笑)」

iMacに限らず、Appleの製品はデザインが優れているが故にその修理の難易度が高いのは確かだ。iFixitで販売されている工具や部品を用いればユーザ自ら修理は可能だが、ある程度のスキルが必要となる。素人は興味で分解バラしをすることはやめたほうが良い。