Macintosh Plus ベージュモデルが新品の輝きに‥

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経年劣化のMacintosh Plus、その黄ばみを取り除くべく、漂白ではない化学反応で新品の輝きを取り戻した。


Macintosh Plusは1986年に発表されたモデルで、初代は薄いベージュカラーであった。Acrylnitrile (アクリルニトリル)、Butadiene(ブタジエン)、Styrene(スチレン)という、それぞれ特性の異なる3種類の物質からなるABS樹脂が使用されている。ABS樹脂には臭素系難燃剤が練り込まれており、この難燃剤が紫外線に晒されて分解し、黄変となる。32年の経年劣化でかなりの黄変、この黄ばみをなんとか取り除く方法がないかと色々検索したところ、「経年により日焼けで黄ばんだプラスチックを驚きの白さに」という情報を見つけたので、さっそく試してみることにした。

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まずは、Macintosh Plusの分解バラしだ。iFixit Pro Tech Toolkitを使い、いとも簡単にバラすことができる。現在のMacに比べると、なんとわかりやすい構造なのか‥。

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黄ばみ除去作業に必要な器具として、アイリスオーヤマのキャリー押入れ(幅44×奥行74×高さ35cm)を用意した。この樹脂ケースは、Macintosh Plusの巨体がピッタリ入るサイズだ。

そして、ABS樹脂の黄ばみ取りに必要な薬剤は以下のとおりだ。

過酸化水素水
漂白活性化剤
紫外線

主役は過酸化水素水、漂白活性化剤はその効果を増長させるための薬剤となる。
その化学反応は、

2H2O2 → O2+2H2O
2Br+3H2O2 → 2HBr+2O2+2H2O

紫外線でABS樹脂中の臭素分子のBr-Br結合や一酸化臭素の配位結合を切り、過酸化水素水の水素と臭素が共有結合、臭素が脱色され、その結果黄ばみが取れるという手はずなのだ。

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この化学反応を起こさせる薬剤、市販品で入手が容易なものと言えば、ワイドハイターEXパワーだ。

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アイリスオーヤマのキャリー押入れ(幅44×奥行74×高さ35cm)ワイドハイターEXパワーを1,000mL投入。そして、水を容器いっぱいまで入れて、黄ばんだMacintosh Plusの筐体を沈めた。
今回、ワイドハイターEXパワーは、約10倍希釈とした。

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一気に水を投入したので、界面活性剤の泡ができてしまったが、自然に消えるのでそのまましばらく静置した。

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アイリスオーヤマのキャリー押入れ(幅44×奥行74×高さ35cm)の蓋を閉めて、周りにアルミホイルを敷き詰め、太陽光を反射させてより紫外線が当たるようにし、この状態で、丸一日炎天下で放置した。

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紫外線による化学反応を促進させるため、黄ばんだ Macintosh Plus の筐体は、漂白ムラのないように時々方向を変えてみた。

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7月の炎天下では、液体の温度もぬるま湯程度まで上昇し、化学反応には最適な条件が得られた。
朝から作業を開始し、夕方取り出した Macintosh Plus の筐体の黄ばみ除去は、予想をはるかに超える結果だった。

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ここまで黄ばみが除去され、オリジナルのベージュに近い状態まで戻せることができるとは思っていなかった。心配していたABS樹脂の変化もなく、Appleロゴのカラーも脱色されず、Mactosh Plus のプリントも問題なかった。
ワイドハイターEXパワーの効果はすばらしいものだ。
ただ、今回どーしても取り外せなかったゴム足(経年劣化で割れる可能性があった)が、化学反応でベトベトになってしまったのが唯一残念な結果となった。

元どおりに組み立てた Macintosh Plus の画像は後ほど‥。